8月6日の広島平和記念式典に全国から派遣された小中高生等に対し、深く平和を学習する機会を提供する、「ヒロシマ平和学習受入プログラム」(「第1回全国平和学習の集い」及び「第1回全国こども平和サミット」)を実施しました。
112自治体(26都道府県)のこどもたち1,319人、引率者489人、受入側等546人、総計2,354人の参加により、大規模かつ充実した学びの場となり、若い世代への平和学習が全国規模で動き出す第一歩となりました。
また、参加自治体の3分の2が、こどもたちの発信等により、当該自治体での平和文化が大いに向上したと報告しています。
令和8年度も、平和を愛する沢山の自治体のご参加をお待ちしています。
第1回全国平和学習の集い
~Peace for Smile, Smile for Peace~
8月5日から7日までの3日間、72自治体(22都道県)のこどもたち828人、引率者285人、被爆の実相やファシリテート技法の研修を積んだユース・ピース・ボランティア333人(15自治体(5県))、総計1,446人が、市内7会場に分かれて平和学習に取り組みました。
第1部の「平和学習会」では、まず、ユース・ピース・ボランティアから原爆被害の概要を説明しました。
続く被爆体験講話は、会場ごとに、才木幹夫
(さいき みきお)さん、梶本淑子
(かじもと よしこ)さん、笠岡貞江
(かさおか さだえ)さん、八幡照子
(やはた てるこ)さん、河野キヨ美
(こうの きよみ)さん、岸田弘子
(きしだ ひろこ)さん、内藤愼吾
(ないとう しんご)さんの7名のお話の後、参加者からの様々な質問に丁寧に答えていただきました。
第2部の「グループ・ディスカッション」では、「①あなたの地元では、第二次世界大戦中にどのような被害を受けましたか。」、「②今、平和でない状態とはどのようなことがありますか。また、それはどうしたら解決できると思いますか。」、という2つのテーマについて、参加者とユース・ピース・ボランティアが、時間をかけてグループ・ディスカッションを行いました。
「第1回全国平和学習の集い」グループ・ディスカッション
アンケートでは、この集いの意義が、次のように浮かび上がっています。
<参加したこどもたち>
- 貴重な体験が詰まったプログラムで、初めて本当の意味で平和を願うということを理解した。新しい発見、学びの多い、有意義な時間であった。
- これまで経験したことがない、とてもいい機会であり、自分の成長につながった。平和な世界を実現させる一人になりたい。
- 未来の平和をつくるのは私たちなんだということを再認識させられた。また参加したいし、これからも続けてほしい。
- 年々少なくなっている被爆者の言葉の重み、心からの平和への訴え・叫びが、自分の想像を超えた内容として、これまでにないくらい強く伝わってきた。被爆者家族の悲劇などを聞き、当たり前がどれだけ幸せかを実感した。質問時間に被爆者が疑問に答えてくださり、交流できたのもよかった。
- グループ・ディスカッションでは、自分では気付かない多様な意見に接し、考えを深め、広げることができた。幸せとは何かを考えさせられた。
- 話し合うことなど自分たちにはできないと思っていたので、できることが分かり本当にいい機会だった。初対面で緊張したが、ユース・ピース・ボランティアが優しく、丁寧に進行してくれ、フレンドリーに、楽しく話し合うことができた。たくさんの仲間ができたし、心強かった。
- 全国に平和を願っている人が多くいることを知った。目指しているところは同じ、心は一つだと実感した。差別をしないなど、小さなことから解決していけば、平和に近づくのではないかと思う。
<引率者>
- 全国各地のこどもが集まって、平和について考えることそのものが、価値があり、未来につながる取組だと考える。引率者にとっても、広島のユース・ピース・ボランティアの意識の高さなどから多くのことを学び、有意義であった。
- 全国の自治体を対象とした大変良い取組で、その原動力は広島市側スタッフの「熱量」ではないかと感じた。今後も続けてほしい。
- 全国の知らないこども同士をうまくグループ分けしたディスカッションがとても良い。同世代と主体的に話合い、発表する場は珍しく、貴重で、主体的な学習につながる。若者同士、声を聴き、表情を見ながら討議し、その熱量を肌で感じられたことが素晴らしい。
- 参加後、こどもたちが、目をキラキラさせながら、学んだこと、感じたこを、お互いしゃべり合っていた。自分たちにできることから始めようといっていた。「本物」に触れることができ、大変良い刺激を受けていた。
- 広島市の補助金支給により、厳しい財政事情でも、遠方からの参加のハードルが下がり、予算化しやすくなった。また、事業縮小も考えられる中、継続する理由になった。
- あらかじめ、事後の講演イベントでの発信がセットとなっているため、参加するこどもたちのモチベーションは高く、地元への波及が期待できる。
<ユース・ピース・ボランティア>
- 日本全国に平和を伝えることができ、コミュニケーションも上手くなり、各地の友達もできたので、すごく良いボランティアだった。平和についての自分の視野が大きく変わり、活動の幅が広がった。素晴らしい夏になった。
- 戦後80年を迎えた今年、戦争の記憶を風化させないという強い意志を仲間と共に持つことができた。同じ気持ちの仲間と議論できた。協力する大切さや、一人ひとりの小さな行動が大きな力になることを実感した。
- どの事前研修も楽しく、次第に平和への思いや、本番へのやる気も高まった。自分が思いつかなかった考えや知識も、たくさん得ることができた。事前研修で自信がついた。本番のグループ討議ではよい議論を展開でき、充実したものとなったので、満足感を感じた。
- 自分が変われる良い経験となった。初めはできなかった、自分から話しかけることや話題を提供することが本番ではできて、自分の成長に驚いた。様々な視点から考える大切さ、知らない人ばかりの環境で雰囲気を良くすることなど、学校では学べないことをたくさん勉強でき、今後の学校生活や日常でも役立つ場面が多いと思った。
- 他地域の参加者が、事前にしっかり調べ、分かりやすく発表してくれたので、全国各地にもそれぞれ戦争による被害があったことを学ぶことができた。
- 今後も参加したいし、次は、海外の若い世代とのディスカッションやガイドなどの平和活動も行ってみたい。
第1回全国こども平和サミット
~Peace for Smile, Smile for Peace~
8月6日の式典終了後、63自治体(19都道府県)のこどもたち708人、引率者281人、広島市側等213人、総計1,202人が参加し、国際会議場フェニックスホールで開催しました。
冒頭、中満泉
(なかみつ いずみ)国連事務次長(軍縮担当上級代表)は、「平和とは何か」、「どうすれば平和を創ることができるのか」、「自分は何ができるのか」の3点について考えてほしいと挨拶されました。
続いて、広島特別支援学校高等部の生徒が、平和へのメッセージを画面に投影しながら、「いつまでも」の合唱を行い、サミットがスタートしました。
第1部の「被爆体験を学ぼう」では、バーチャル・リアリティによる「ヒロシマ『被爆/復興』疑似体験映像」を視聴した後、梶矢文昭
(かじや ふみあき)さんが被爆体験講話・質疑を行いました。
続いて、朗読ボランティアの朗読を聴いた後、参加者全員で、原爆詩「げんしばくだん」を声に出して読み上げました。
第2部の「平和のバトンをつないでいこう(平和への取組発表)」では、北広島市子ども大使(北海道)、市原
(いちはら)市平和大使(千葉県)、石垣
(いしがき)市平和大使(沖縄県)の活動報告や、岡谷
(おかや)市(長野県)のいじめをなくす取組、広島市や長崎市の生徒による平和活動や地域貢献への取組など8団体が発表を行い、平和への思いを共有しました。
アンケートでは、サミットの意義が、次のように浮かび上がっています。
<参加したこどもたち>
- 心に残るプログラムで、これからの人生に大きな影響を与えてくれた。私たちの行動で平和な社会が続いていくのではないかと思った。私たちが、これからどうすべきか、何ができるのかを考えていく必要があると感じた。
- 参加できて本当に良かった。VR視聴や被爆体験講話などで原爆や戦争に対する考えが深まり、また、現地でしか感じられない雰囲気を感じることができ、とても素晴らしく貴重な時間となった。心にとても響いた。
- 被爆者や朗読者、こどもたちなど、様々な立場の方から、それぞれの視点での話を聞くことができ、とても有意義だった。全国各地のこどもたちと思いを共有できてよかった。
- 合唱は、聴いていて気持ちの良いものだった。
- 被爆者のお話で、本当に「あぁこういうことが広島で起こったんだな。」とよく分かった。本当に大変な思いをたくさんされたということが分かった。一つ一つの話が心に残った。当たり前の生活を感謝できるようになった。
- 朗読者の言葉は力強く感じ、また、自分たちが声に出すと、感情がこもって、書いた人の気持ちになれた。実際の情景が浮かび、胸に響いた。平和についてもっと強く伝えていかなければならないと感じた。
- それぞれの地域での「平和」に向けた取組が聞け、自分の地域と比べてみることができた。同年代の意見を聞くいい機会だし、こんなにも平和に対して積極的だということに衝撃を覚えた。私たちもやれたらいいなと思った。
<引率者>
- 名称が新しくなり初めてのサミットだったが、すごくよかった。柔らかな心を持った若い世代と、平和の素晴らしさを一緒に考える場になればと思う。被爆の事実を忘れることなく、しっかりと受け止めつつ、現在や未来に向けて何ができるのか、どう行動すればよいのか、そう問いかけてくるような内容だった。こういった活動が広がっていってほしい。
- 8月6日前後の被爆地広島の熱は、長崎を除いて、絶対に体験できない熱さなので、大変勉強にもなり、刺激的である。このイベントを続けることに平和的意義があると思う。
- 引率者も戦争と平和についていろいろと考える良い学びの機会となった。こどもたちの真剣なまなざしと、「今の平和を守るにはどうしたらいいか。」という率直な投げかけは、大人にも多くの気付きを与えてくれた。
(参考画像)
(平和学習課)