平和首長会議では、2月4日から6日までの3日間、全国15自治体の職員の皆さんの参加を得て、自治体での平和学習に焦点を当てた「平和首長会議インターンシップ」を実施しました。
【参加自治体】
北海道北広島市、北海道函館(はこだて)市、山形県山形市、千葉県流山(ながれやま)市、千葉県我孫子(あびこ)市、東京都文京(ぶんきょう)区、東京都世田谷(せたがや)区、東京都日野(ひの)市、東京都福生(ふっさ)市、新潟県長岡(ながおか)市、新潟県上越(じょうえつ)市、愛知県名古屋市、愛知県大府(おおぶ)市、長崎県長崎市、鹿児島県鹿児島市
■ 1日目 -平和行政の現場を知る
谷史郎
(たに しろう)平和首長会議副事務総長より、平和学習の内容やその効果、国内における平和学習の実施状況等が紹介されました。
続くアイスブレイクやグループワークでは、日浦聡一
(ひうら そういち)平和学習課課長補佐によるファシリテーションの下、各自治体の取組や課題について活発な意見交換が行われました。
■ 2日目 ―被爆の実相を学ぶ
平和記念資料館を視察した後、内藤愼吾
(ないとう しんご)証言者による被爆体験講話を聴講しました。
多くの参加者にとって被爆者の証言を聞くのは初めての経験であり、「被爆の惨状がより具体的に心に迫ってきた。」「被爆者の高齢化が進む中で、直接話を聞けたことは大変貴重だった。」といった声が寄せられました。
午後は、ピースボランティアの案内による平和記念公園の碑巡りや、AIを活用した被爆証言応答装置(試行段階)の体験をしました。
実際に現地を歩き、歴史の背景を知ることで、被爆経験を肌で感じ、平和への思いを新たにするとともに、伝承の在り方についても深く理解しました。
■ 3日目 ―若い世代に対する平和学習に関する政策案の作成と発表
これまでの学びを踏まえ、参加者が4グループに分かれて、若い世代に対する平和学習に関する政策案を作成し、ワールド・カフェ方式で互いの政策案の共有と対話を行ったのち、松井一實
(まつい かずみ)広島市長、香川剛廣
(かがわ たけひろ)平和首長会議事務総長に発表しました。
Aグループ(函館市、文京区、流山市、長崎市):「持続可能な平和学習」
「現在の平和学習は単発かつ限定的になりがち」との問題認識から出発し、小学生から大人までの連続的な時間軸の中で、世代ごとに役割も持ってもらいながら、学びをつないでいく「学びの循環」を提案しました。
小学生は、自治体による広島・長崎への派遣事業を行い、「派遣体験を映像化し、派遣されなかった子どもにも共有すること」をポイントとして示しました。
また、中学生は、広島などを修学旅行先とし、「学んだことを小学生に伝えるアウトプットの場を作ること」を提案しました。
さらに、高校生以上については、派遣された「被爆体験伝承者」からの学び等を通じて、平和学習の講師として育成するなど、学びを絶やさない取組を示しました。
Bグループ(北広島市、山形市、福生市、大府市):「無関心層を関心層に」
「良い取組をしても、参加者は平和に関心を持っている人ばかり。」という課題を受けて、関心の薄い層への取組を提案しました。
具体的には、若者が集まる場所でスタンプラリーを行い、「平和を前面に出しすぎず、結果として平和を考えるきっかけ」づくりや、例えば、「AとB、どっちが平和?」と問いかけるポスターの作成・貼出により、見た人が立ち止まって考える機会をつくる取組が紹介されました。
Cグループ(上越市、日野市、我孫子市、広島市):「自分ごと化としての平和」
若者の関心が薄い理由について、「共感ができていないこと」を課題として挙げ、世代や地域の距離の遠さ、対話の不足が背景にあると指摘しました。
そこで、異なる世代や価値観を持つ人と関わる機会を設け、「自分ごととして捉える」平和学習の在り方を提案しました。
具体的には、多感な時期に五感で感じる体験を重視し、小学生は地域で起きた戦争の話を学び、また、中学生は広島・長崎などを訪れて、同世代との交流も行い、その学びを小学生へ伝えることを示しました。
また、高校生は議論を支える役割を担い、大人は伝承者として学校教育に関わるなど、世代をつなぐ役割を持つことが提案されました。
Dグループ(長岡市、世田谷区、名古屋市、鹿児島市):「戦後100年・200年を見据えた歴史の継承」
「戦後100年の子供たちは語り部に直接会えない。」という課題を示したうえで、20年後を見据えた目標として、「子供たちの言葉で表現した戦争の実態を表す本」を作る構想が示されました。
具体的には、各自治体で地域の戦争体験を再調査し、平和部局と教育委員会の連携の下、自治体主催のワークショップなどを通じて平和学習を進め、将来的には都道府県単位、さらに国全体へと取組を広げていくロードマップが示されました。
そして、最終的には、全国の子供たちが集まり、自分の言葉で戦争の実態を伝え合い、一冊の本としてまとめる目標が示されました。
■ 参加者の声
参加者からは、充実した学びを振り返る声が寄せられています。
また、行政の平和啓発事業は単発的になりがちであることを踏まえ、「平和学習を継続して進める視点から事業を検討していきたい。」と、今後の決意を語る参加者もいました。
さらに、広島で被爆の実相を学ぶ経験をしたことで、被爆地や戦争の跡を訪れ、また、体験者の話を直接聞くことが、五感を通じた深い学びにつながると感じたといいます。
今回の学びと築かれたネットワークにより、各加盟都市における平和推進事業が充実するとともに、さらには全国の平和行政の発展にもつながっていくことを期待したいと思います。
(平和文化企画課)