第21回展示検討会議の開催
 広島平和記念資料館では、本年4月26日に東館がリニューアルオープンしました。 現在は、本館展示の更新を進めています。 東館と同様に、原爆被害、核や平和問題などの有識者で構成する展示検討会議の委員から展示構成、展示手法、展示資料の収集・選定などについて指導・助言を受けながら、展示内容の検討を行っています。
 7月26日に第21回展示検討会議を開催し、本館展示について検討しました。 本館では、学生服や弁当箱などの遺品や、火傷を負った人々の写真、被爆者が描いた原爆の絵などを展示し、人間(被爆者)の視点から原爆の悲惨さを伝えます。 展示は 【8月6日のヒロシマ】、【被爆者】 の2つのゾーンで構成し、さらに 【8月6日のヒロシマ】 は 〈8月6日の惨状〉 と 〈放射線による被害〉、 【被爆者】 は 〈魂の叫び〉 と 〈生きる〉 というテーマに分かれています。 今回の会議では、それぞれの展示エリアに次のような展示イメージを示し、意見を交わしました。
【8月6日のヒロシマ】
 東館から渡り廊下を渡り、突き当りの本館の最初の壁面に、人の被害を伝える画像を展示。 その後の通路部分には、立ち上るきのこ雲、8月6日に撮影された火傷と負傷にあえぐ人々の写真が続きます。
 その通路を抜けた先の展示室の中央に大型の展示ケースを配置し、建物疎開作業に動員され、亡くなった生徒たちの遺品を集合展示します。 展示ケースの周りには、壁面に沿って、破壊された街の混沌(こんとん)とした状況を伝えるため、「鉄骨の(はり)」や「レンガ塀」など都市の被害を物語る大型資料を展示し、床面に瓦の溶融塊を敷き詰めることを考えています。 当日の惨状を、より間近に感じてもらうため、資料は展示ケースに入れることなく展示したいと考えています。 また別の壁面には、火傷を負い苦しむ人たちの様子を撮影した写真や、傷つき炎の中を逃げ惑う人たちを描いた原爆の絵を展示し、人への被害を伝えます。
【被爆者】
 〈魂の叫び〉のコーナーでは、1点1点の資料と向き合い、亡くなった1人1人の命と家族の思いを感じ取ってもらうため、展示室中央に小型の展示ケースを複数台配置し、資料は1点ずつ展示することを考えています。 また、遺影や家族写真、亡くなった人の言葉なども添えて、資料から人の姿を想像できる展示手法も考えています。 「市民が描いた原爆の絵」は、現物を展示するコーナーを設け、定期的に入れ替えることを検討しています。

 今回の会議では、写真や原爆の絵を選ぶ際には実証性を重視することや、被爆者の気持ちが込められ描かれた原爆の絵は、展示場所や展示手法を十分に検討することなどの意見がありました。 こうした意見を踏まえて展示案を見直し、展示検討会議に諮りながら展示内容を固めていきます。

(平和記念資料館 学芸課)

このページのトップへ ▲

〒730-0811 広島県広島市中区中島町1-2
TEL:(082)241-5246 FAX:(082)542-7941
e-mail: p-soumu@pcf.city.hiroshima.jp
Copyright(C) Since April 1, 2004. Hiroshima Peace Culture Foundation