本財団新理事長に小泉崇元駐ブルガリア共和国特命全権大使が就任
 本年7月16日、元駐ブルガリア共和国特命全権大使の小泉(こいずみ)(たかし)氏が本財団の10代目の理事長に就任しました。
【略歴】
昭和26年生まれ。東京教育大学文学部卒業。
昭和51年、外務省入省。 在米国日本大使館・一等書記官、経済協力局開発協力課課長補佐、欧亜局中・東欧課課長補佐、経済協力局民間援助支援室首席事務官、大臣官房監察査察室首席事務官、在東ティモール日本大使館・参事官、国際協力局国際緊急援助室長、大臣官房地方連携推進室長、大臣官房福利厚生室長、ブルガリア共和国駐(さつ)日本国特命全権大使を経て、平成28年8月退職。

 就任のあいさつ
 この度、小溝(こみぞ)泰義(やすよし)前理事長の後を受け、栄えある広島平和文化センターの理事長に就任いたしました小泉崇です。 この「広島の平和を求める心」の原点であり拠点ともいうべきセンターの理事長という重責を担うことになり、大変光栄であるとともに身の引き締まる思いをしております。 会長である松井市長のご指導の下に、その任を果たすべく全力を尽くしたいと考えております。
 小溝前理事長は、広島の心、とりわけ被爆者の方々の思いを世界に伝え、核廃絶に向けた運動を前に進める上で顕著な貢献をされました。 平和首長会議のメンバー都市の拡大やリーダー都市制度の創設、オバマ前米国大統領の広島訪問実現に向けての環境整備、核兵器禁止条約を実効的ならしめるためのイニシアティブなど、その数々の実績は枚挙に暇がありません。 私は小溝前理事長にその実力、見識においてとても及ぶものではありませんが、40年間の外交官としての経験・知見を活かし、核なき平和を求めて、文化・青年交流、国際的な交流を更に前に進め、センターの活動推進と発展に貢献していきたいと考えております。
 私は40年間にわたる外交官生活の中で、如何に平和が大切であるかを実感してきました。 共産主義国であった東欧のブルガリアに赴任した時期には東西冷戦と共産主義体制の崩壊を経験し、その後に転勤した米国では、直後に湾岸戦争が勃発。 更に2000年代半ばに勤務した独立間もない東ティモールでは、再び内乱状態となり自宅周辺で銃撃戦が起こり身に危険が迫る事態にも遭遇しました。 その後国連の平和維持活動(PKO)への支援にも参画し、ひとたび崩れた平和を立て直すことがいかに大変であるか、また、平和構築に国際社会が協力して取り組むことがいかに重要かを痛感する経験をいたしました。
 なかでも広島及び核兵器廃絶についての思いに触れたいと思います。 駐ブルガリア日本大使を務めていた2015年に、ひろしま・ブルガリア協会主催の「被爆70周年記念ヒロシマ・ナガサキ原爆展」で挨拶を行い、 「核兵器がどれほど残酷で非人道的な兵器であるかは、唯一の被爆国である日本人が一番よく知っている。理由の如何を問わず人類が二度と使ってはならない兵器である。」 旨を述べ、松井市長のメッセージを引用して、 「核兵器や戦争のない世界を希求している同市長の思いをブルガリアの人々とも共有したい。」 旨を強調しました。 更に、国立ソフィア大学で行った「戦後70周年記念講演会」でも、広島・長崎への原爆投下70周年に触れ、核兵器廃絶と平和主義の重要性を訴えて多大な反響を得るなど、累次の機会に平和と核廃絶に向けての思いをブルガリアの人々に伝える努力をしてまいりました。
 最後に一点述べておきたいことがあります。 それは、私自身が東京の近所にお住いのある被爆者の方に知己を得て個人的な交流の機会を持つことができたことです。 その方は、数えで7歳の時に被爆し、一瞬の内に肉親10人を失う経験をされました。 その後小学校を出ただけで大阪に丁稚奉公に出されて、それこそ筆舌に尽くせぬ苦労をされ、今も原爆の後遺症に苦しめられていると伺いました。 その被爆者の方の「原爆は絶対悪である」、「誰にも二度と同じ思いをさせてはならない」との強い訴えは、私の心を揺さぶり、センターの仕事に携わりたいという動機の一つとなりました。
 昨今の国際情勢を見るに、明るさの兆しが見えた「核廃絶」を巡る状況は厳しさを増していると認めざるを得ません。 しかしながら、私は「核廃絶」は必ずできると信じています。 何故なら、「核兵器」は人間が作り出したものであるから、人間がこれを廃絶できないわけがないと思うからです。 私たちは如何に困難であろうともその実現を絶対に諦めてはならないと思います。 そのためには、市民社会の連帯の力が何より重要であり、民衆の声が時代を動かす力となることを信じます。 そして、広島平和文化センター及び平和首長会議の役割がますます増してきていると思わざるを得ません。 力のない私ですが、全力で任務に当たる所存ですので、皆様方のご理解とご協力をいただければ幸いに存じます。 どうか宜しくお願いいたします。
(2019年7月16日)
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