2020年NPT再検討会議第3回準備委員会に合わせ平和首長会議が代表団を派遣
 平和首長会議(会長 松井(まつい)一實(かずみ)広島市長)は、今年4月・5月、米国・ニューヨーク市で開催された2020年NPT(核兵器不拡散条約)再検討会議第3回準備委員会に合わせて代表団を派遣し、国連・各国政府関係者等に、核兵器廃絶に向けた被爆者の切なる願いを伝え、NPT第6条が規定する核軍縮の誠実交渉義務の遂行や核兵器禁止条約を推進することの重要性を訴えました。 さらに、平和首長会議が市民社会の連帯を広げることにより、核兵器のない世界の実現を目指す為政者のリーダーシップを後押しする環境づくりを進めていくことを伝えました。 また、平和首長会議主催によりユースフォーラム等を実施したほか、松井会長が国連国際学校で講演を行いました。
4月29日(月)
 中満(なかみつ)国連事務次長兼軍縮担当上級代表は、同準備委員会の開会挨拶で、来年はNPT発効50年を迎えることに触れ、核兵器を巡る状況は厳しいが、当事国による誠実な対話と交渉により、バランスの取れた安定的な平和をもたらすNPT体制の構築が重要であると述べられました。
 代表団は会議を傍聴した後、見澤(たかみざわ)軍縮会議日本政府代表部特命全権大使と面会し、松井会長、田上(たうえ)富久(とみひさ)副会長(長崎市長)からサイード準備委員会議長の被爆地訪問の働き掛けをお願いしたほか、小溝(こみぞ)泰義(やすよし)事務総長(本財団理事長)が米国内の州・市議会で核兵器廃絶に向けた決議採択の動きがあることを紹介しました。
 続いて、リドル軍縮会議英国政府代表部大使との面会では、松井会長は、他の国も英国のように透明性や対話を重視する姿勢を持てば意見はまとまっていくので、被爆者の強い思いを受け止め、他の核保有国をリードして、核兵器廃絶に向けて歩みを進めてほしいと依頼しました。
4月30日(火)
 最初に、ハイノツィ オーストリア外務省軍縮局長と面会し、松井会長は、核保有国における平和首長会議加盟都市を増やし、市民社会の核兵器廃絶に向けた気運を醸成することが重要であり、特に若い世代の意識高揚に取り組みたいとの考えを述べました。
 続いて、広島から派遣した「核兵器禁止条約」の早期締結を求める署名活動に従事している高校生8人と共に国連国際学校を訪問しました。
 松井会長は、約130人の高校2年生を対象に講演を行い、被爆の実相と被爆者の思いを伝えるとともに、国家は自国の利益追求を優先する中で核抑止に依存する考え方をなかなか変えられないかもしれないが、人類が平和に暮らし続けられるように地球を持続可能なものとするためには核兵器はいらないのだという認識を世界の市民社会において広げていくことが重要であると訴えました。 また、松井会長の講演後、派遣高校生も、同校の1年生約40人を前に自らの平和活動について発表するとともに、若者として平和な世界を築くために何ができるか等について活発なグループディスカッションを行いました。
 その後、派遣高校生と共に中満上級代表を訪ね、松井会長が派遣高校生の活動について紹介した後、高校生代表から上級代表に約12万筆分の署名目録を手交しました。 続く上級代表との意見交換の場で、松井会長は、市民が安心、安全に暮らせるよう責任を担う市長の組織である平和首長会議として、広島・長崎の経験を二度と繰り返さないために「持続可能な地球」というテーマを設定して活動していきたいと説明しました。 また、被爆の実相を伝えるべく平和記念資料館のリニューアル等、展示内容の充実に取り組んでおり、多くの人に見てもらうことで世論醸成につなげたいと述べました。
 続いて、ヒギー軍縮会議ニュージーランド政府代表部大使と面会した松井会長は、今後も周辺国と共に核兵器禁止条約の批准を進めていくための取組を進め、批准国を増やしてほしいと依頼しました。大使は、今後も市民社会の活動に期待していると述べられました。
5月1日(水)
 松井会長は田上副会長と共に、被爆地の市長として準備委員会のNGOセッションで発言し、平和首長会議は被爆者の切実な願いを受け止め、世界中のパートナーと為政者を後押しする環境づくりを進めていくとの決意を表明し、核保有国を含む全ての国が真剣に対話して、知恵を出し合い、対決的安全保障を協調的安全保障に転換するための為政者のイニシアティブを要請すると訴えました。
 続いて、PSR(社会的責任のための医師の会)
と協働するSGI(創価学会インターナショナル)広報担当ディレクターのホール氏との面会で、松井会長は、平和首長会議は核保有国で加盟都市を増
NGOセッションでスピーチする松井会長(左)と田上副会長
やし、政府に軍縮を働き掛ける世論を醸成したいと考えており、首都であるワシントンD.C.の加盟に向け、協力してほしいと依頼しました。
 その後に面会したサイード準備委員会議長は、合意を形成し来年の再検討会議に臨めるよう勧告案を作成するとの意向を示し、 「核軍縮の推進について市民社会、特に若者の賛同を得ていきたい、世論の醸成に向けた市民社会の果たす役割に期待する」 と述べられました。 松井会長は、平和首長会議は被爆者の思いを大切にしながら、市民に直接向き合い、次世代のために持続可能な地球を残すため活動していると説明し、 「来年に向けてそれぞれの国が他国のことも考慮した判断をしつつ、全体として調和のとれた、俯瞰(ふかん)的な視点で捉えた内容でまとまるよう期待している」 と述べました。
 さらに、松井会長はニューヨーク広島会のメンバーと面会し、同会がニューヨークでヒロシマの心を広く発信する活動を行ってくださっていることに感謝の意を伝えるとともに、 「市民が平和な生活を送れるようにすることを第一に考えて市政を進めており、市民にも皆が平和な生活を築き、継続していくために自分はどうあるべきか考えるという視点を持っていただけるよう平和行政を進めていきたい」 と述べました。
5月2日(木)
 準備委員会のサイドイベントとして平和首長会議主催ユースフォーラムを実施し、派遣高校生のほか、ナガサキ・ユース代表団や平和関連のNGOで活動する世界の青少年が、自分たちの活動内容や平和への思いについて発表するとともに意見交換を行いました。
平和首長会議主催ユースフォーラムの参加者と一緒に
 続いて、米国のリーダー都市であるデモイン市のカウニー市長等と共に、デブラシオ ニューヨーク市長と面会しました。 カウニー市長は、全米市長会議において13年連続で核兵器廃絶と平和首長会議の取組についての賛同決議が採択されていること、ワシントンD.C.等の市議会で米国政府に核兵器禁止条約に署名するよう求める決議が採択されたこと等を紹介しながら、人々の生活を守る市長の組織である平和首長会議と連帯して一緒に活動しようと、加盟を呼び掛けました。
5月3日(金)
 平和首長会議役員都市意見交換会を実施し、役員都市5都市が集まったほか、スカイプを通じて1都市が参加し、平和首長会議が目標の一つとして掲げている「安全で活力ある都市の実現」に向けた活動をそれぞれの都市が発表しました。 松井会長は、 「市民の住む土地で、いかに安心、安全を確保するかが大事であり、核なき世界を目指して、多様な価値観を認め合いながら、今後も各都市のさまざまな施策を持ち寄って取組を進めよう」 と述べました。
 続いて、ディスラプター・アウォード授賞式に出席しました。 ディスラプター・アウォードは、米国の財団が社会的な問題解決に取り組む個人や団体を顕彰する賞であり、その賞の中で特に核兵器廃絶と世界平和の分野の貢献を称えるために昨年創設されたハーシー・プライズが平和首長会議に授与されました。 授賞式で松井会長は、受賞の挨拶を述べた後、 「これで核抑止の考え方を(たた)き壊そう!」 と、ハンマーをかたどった賞のトロフィーを振り下ろし、広島から持参した千羽鶴を希望のシンボルとして紹介し、大きな拍手を得ました。
4月30日(火)〜5月3日(金)
 準備委員会の会場となった国連本部内で、会議に参加した方々に被爆の実相についての理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆ポスター展を実施しました。
 なお、平和首長会議は、NPT発効から50周年という歴史的な節目に開催される来年のNPT再検討会議に対する期待を込め、全ての締約国が本条約の基本的な目標と目的に関する共通の基盤を拡大するために、相違点を乗り越えて真剣に対話し、具体的な核軍縮・不拡散措置を確実に進展させるための創造的な解決策を生み出すよう求める共同アピールを、準備委員会最終日の5月10日(金)に、ジャックリーン・カバッソ本財団専門委員からサイード準備委員会議長に手交するとともに、議場で各国政府代表に配付しました。 また、国連事務総長や全ての国連加盟国宛に本アピールを発出するとともに、平和首長会議全加盟都市に対し、このアピールを各国政府や市民社会に広く伝えてもらうことを依頼しました。

(平和首長会議・2020ビジョン推進課)

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