シリーズ講座
「広島の平和思想を伝える」
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被爆65周年となった今年度、平和を希求し核兵器の廃絶を願うヒロシマの思想を生み出してきた先人の考えや行動を知り、後世に伝えていくため、シリーズ講座「広島の平和思想を伝える」を開催しました。
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第1回目は、ノーベル文学賞受賞作家であり、『ヒロシマ・ノート』の執筆をはじめ広島との関わりが深い大江健三郎先生が「私が『ヒロシマ以後』に学んだこと」と題し講演されました。
大江先生は、『ヒロシマ・ノート』に書かれた重藤文夫先生や金井利博氏の姿を始め、幅広い視点から平和について分かりやすく話されました。
また、若い人たちへのメッセージとして、「ヒロシマの思想を理解し、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現を願う広島市民の思いを後世に伝えるために行動しよう」と呼び掛けました。
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講演される大江健三郎先生
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講演会には広島市民だけではなく、福岡、京都、東京、仙台などから駆け付けた人も含め、約1,200人の参加者を得て大変盛況でした。
参加者からは、「大江先生の誠実で具体的なお話に感銘を受けた」、
「広島・長崎の被爆をポジティブな面から訴えることが大切だと同感した」、
「ヒロシマ市民として重要なメッセージを頂いた」、
「次の世代に継続していこうと思った」、
「(御子息の)光さんの音楽に安らぎを感じた」といった感想が多く寄せられました。
講演会は、若い世代を始め参加者の皆さんが、ヒロシマの心や核兵器のない世界の実現を目指し行動していくための貴重な第一歩となりました。
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第2回目は、広島市立大学「平和インターンシップ」事業と連携して実施しました。
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被爆とともに生きる広島の記者として核兵器の問題を人間の側から見つめ続けた新聞記者、金井利博氏をテーマに、
広島大学文書館長で国際協力研究科教授の小池聖一先生が講演されました。
小池先生は、被爆の実態を把握し世界に伝えることが、核兵器禁止、核戦争防止につながるという信念のもと、
国の責任において全被爆者の生活と健康の実態調査を行う必要性を強く訴え「原爆白書運動」を展開した金井氏の思想について、
昭和27年以降の平和報道を分析しつつ、広島大学平和学術文庫の文献・史料を基に精微かつ客観的に話されました。
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講演される小池聖一先生
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講演会には広島、福岡、山口などから駆け付けた人も含め、約250人の参加者を得ました。
参加者の皆さんからは、小池先生の「先生の温厚で具体的なお話に魅了された」、
「金井利博の三つの思想が印象的だった」、
「原爆報道に関する変遷がよくわかった」、
「広島大学文書館を訪れたい」といった感想が数多く寄せられ大変好評でした。
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(市民局平和推進課) |
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