被爆体験記集T 「しまってはいけない記憶」 を発行しました
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、被爆体験記を残す意欲がありながら、高齢等により執筆が困難な広島県内の被爆者を対象に、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の職員が聴き取りと代筆を行い、被爆体験記の執筆を補助する事業を行ってきました。 平成18年から現在までに103編の被爆体験記を完成しています。
  執筆補助事業は職員が2人1組で被爆者の方に聞き取りを行います。 70年前の記憶を呼び起こしていただき、できるだけ詳しく正確な体験記を残していただくために、こちらで質問を用意し、それにお答えいただく形で聞き取りを進めています。
(1) 「証言者ご自身について」 ― 被爆時の年齢や職業(学校)、住所や家族構成等。
(2) 「被爆前の生活状況」 ― 比較的苦労はなかったとおっしゃる方も8月6日当日は勤労奉仕(きんろうほうし)に従事していたりと、戦時の生活が垣間見えます。
(3) 「被爆時の状況」 ― 被爆場所とその時、何をされていたか。 また、原爆が投下された瞬間の音、光、色、臭い、感触などを細かに聞きます。 光がどの方角に見えたか、といったことも詳しく聞き取ります。 その後、どの方角に逃げたか、救助を受けた場所、家族の捜索、広島市内の被爆の現状・・・この部分が最も長く濃い内容になります。
  そして、私どもの執筆する被爆体験記のひとつの特徴として、
(4) 「被爆後の生活状況」にも多く文章をさきます。 生活のご苦労や被爆の後障害(こうしょうがい)についてお聞きすると、やはり病気に苦しんだ人が多いことを改めて認識させられます。 今は、多くの方々が、お子さん、お孫さん、曾孫(ひまご)さんに恵まれ、平穏な日々を過ごしていらっしゃいますが、振り返るとなお一層、被爆とその傷痕(きずあと)尋常(じんじょう)ならざることを思います。 現時点でできうる限りの正確な記述がなされた被爆体験記に仕上げることができたと思っています。
  被爆70周年を迎えた今夏、完成した被爆体験記を書籍として発行しました。 今年度発行分では、約半数の50編を収録しています。 A5版、557頁、広島市が取り組んでいる折り鶴再生モデル事業で作られた折り鶴再生紙を使いました。
  600部発行し、学校と公共施設に配布しました。 主な配布先は、広島市内全中学校・高等学校、広島市内全図書館及び広島県内主要図書館、広島県内全大学図書館です。 一般の方には配布していませんが、書籍に掲載されている被爆体験記全編を「平和情報ネットワーク」>>で公開していますのでご覧ください。

(原爆死没者追悼平和祈念館)

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