原爆死没者慰霊碑への献花・演説
平和記念資料館視察後、両首脳は、キャロライン・ケネディ駐日米国大使、岸田外務大臣、松井市長、湯ア知事の先導により、原爆死没者慰霊碑に進み、ユース非核特使を務める高校生から手渡された花輪を献花し、黙祷を捧げました。
その後、両首脳は演説を行いました。
オバマ大統領は演説の中で、原爆の惨禍に触れ、被爆体験継承の重要性について述べました。
そして、「私自身の国と同様、核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければなりません。」と、核兵器のない世界の実現に向け、決意を新たにするよう世界の政治指導者に呼び掛けました。
最後に、私たちが平和な未来を選択すれば、「広島と長崎は、核戦争の夜明けではなく、私たち自身が倫理的に目覚めることの始まりとして知られるようになるでしょう。」と、広島・長崎の被爆体験を原点に、未来志向で取り組んでいくことの重要性について言及しました。
こうした大統領の発言は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という核兵器廃絶を願う切なる思いを受け止めていただいたことの表れであり、これまで関心のなかった多くの人々も、核兵器廃絶について考え、被爆地について思いを馳せる機会になりました。
また、安倍総理は演説の中で、米国の大統領が被爆の実相に触れ、「核兵器のない世界」への決意を新たにしたことは、「核なき世界」を信じてやまない世界中の人々に大きな「希望」を与えたと述べました。
そして、世界中のどこであろうとも、このような悲惨な経験を決して繰り返させてはならないという被爆者の「思い」を受け継いでいくこと、また、「核兵器のない世界」の実現に向け、絶え間なく、努力を積み重ねていくことが、今を生きる私たちの責任であると訴え、必ずや、その責任を果たしていくと述べました。
被爆者とのふれあい
演説の後、オバマ大統領は、被爆者であり日本原水爆被害者団体協議会の代表委員を務める坪井直氏、自身も被爆者であり原爆で亡くなった米国の捕虜12名について長年調査を行ってきた森重昭氏に歩み寄り、それぞれ言葉を交わしました。
原爆ドームの説明
その後、両首脳は原爆ドームへ向かって進み、「平和の灯」の北側から原爆ドームを望んで岸田外務大臣が説明を行いました。
また、岸田外務大臣は、原爆ドーム手前に見える原爆の子の像と世界から寄せられた折り鶴についても説明を行い、オバマ大統領は熱心に耳を傾けました。
広島・長崎両市長による記者会見
オバマ大統領の広島訪問を終えて、松井市長は田上富久長崎市長と共にインタビューを受け、長崎市と共に長年にわたり働き掛けてきた米国の現職大統領による被爆地訪問が実現したことに対し、日本政府と米国政府へ謝意を表しました。
また、オバマ大統領には被爆の実相に触れ、被爆者の体験や平和を願う気持ちに接していただいたことで、「核兵器のない世界の実現」に向けた決意を一層強固なものにしていただいたという感想と、日本政府には核保有国と非核保有国の橋渡し役として、核兵器廃絶に向けた国際的な議論を主導していただきたいという期待を述べました。
さらに、オバマ大統領の訪問が世界の政治指導者の被爆地訪問に繋がることが期待できるため、今回の訪問が、「核兵器のない世界」に向けて共に歩みを進める歴史的な出発点になると述べました。
そして今後の取組については、広島市は長崎市と手を携え、引き続き世界の人々に被爆地訪問を呼び掛けるとともに、平和首長会議の取組を通して核兵器廃絶を訴えることにより、国際的な気運を高めていきたいと述べました。
(写真提供: 折り鶴の写真は平和記念資料館、その他の写真は広島市)
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広島平和記念資料館視察
オバマ大統領は、平和記念公園到着後、安倍総理の出迎えを受け移動した後、平和記念資料館前において、岸田文雄外務大臣、松井一實広島市長、湯ア英彦広島県知事の出迎えを受けました。
大統領は、館内で熱心に佐々木禎子さんの折り鶴などの展示物を見るとともに、岸田外務大臣の説明に耳を傾けました。
その後、自ら折った折り鶴を、出迎えた小学生と中学生に1羽ずつ手渡し、記帳した芳名録にも2羽の折り鶴を添えました。
大統領は、芳名録に「私たちは戦争の苦しみを経験しました。共に、平和を広め核兵器のない世界を追求する勇気を持ちましょう。」と記し、
安倍総理も「原爆によって犠牲となったすべての方々に哀悼の誠を捧げます。恒久平和を祈り核兵器のない世界の実現に全力を尽くします。」と記しました。
オバマ大統領が折った鶴
献花後、黙祷を捧げるオバマ大統領
演説をするオバマ大統領
演説をする安倍総理
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被爆者とふれあう両首脳(上:坪井氏、下:森氏)
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広島市長(右)と長崎市長(左)による記者会見
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