被爆71周年平和記念式典
―依然として世界には、地球そのものを破壊しかねない15,000発を超える核兵器が存在します―
被爆71年目の8月6日(土)、広島市の平和記念公園で、市主催の平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)が行われ、被爆者や遺族など約5万人が参列して犠牲者の冥福と恒久平和を祈りました。
 式典は午前8時に始まり、最初に松井(まつい)一實(かずみ)広島市長と遺族代表2人が、この1年間に亡くなられたことが確認された5,511人の氏名が記帳された3冊の原爆死没者名簿を、原爆死没者慰霊碑の中の奉安箱(ほうあんばこ)に奉納しました。 これで名簿登録者総数は303,195人、名簿総数は111冊となりました。  続いて永田(ながた)雅紀(まさのり)広島市議会議長の式辞、各代表による献花の後、原爆が投下された8時15分に、遺族代表の亀本(かめもと)宗祐(そうすけ)さんと、こども代表の武田(たけだ)結衣(ゆい)さんが平和の鐘をつき、参列者全員が1分間の黙祷(もくとう)(ささ)げました。
平和宣言を行う松井広島市長
 この後、松井市長が平和宣言を行いました。 宣言の中で市長は、1945年8月6日午前8時15分、“絶対悪”原子爆弾が広島に投下され、その年の暮れまでに14万もの尊い命が奪われ、また、辛うじて生き延びた人々も放射線の障害に苦しみ、就職や結婚の差別に()い、心身に負った深い傷は今なお消えることがないと述べ、被爆者から寄せられた生々しい証言を紹介しました。
 そして市長は、あれから71年、依然として世界には、広島に投下された原子爆弾の威力をはるかに上回り、地球そのものを破壊しかねない15,000発を超える核兵器が存在し、核戦争や核爆発に至りかねない数多くの事件や事故が明らかになって
おり、テロリストによる使用も懸念されていると指摘し、私たちはこの現実を前にしたとき、被爆者の心からの呼び掛け、訴えを受け止めて、更なる行動を起こさなければならず、多様な価値観を認め合いながら、『共に生きる』世界を目指し努力を重ねなければならないと力強く訴えました。
 また、5月に原爆投下国の現職大統領として初めて広島を訪問したオバマ大統領の、 「私自身の国と同様、核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない。」 という訴えを紹介し、それは、被爆者の 「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」 という心からの叫びを受け止め、核兵器の廃絶に立ち向かう「情熱」を、米国をはじめ世界の人々に示すものであり、あの“絶対悪”を許さないというヒロシマの思いがオバマ大統領に届いたことの証しだと述べました。
 そして、今こそ私たちは核兵器廃絶への道筋をつけるためにヒロシマの思いを基に「情熱」を持って「連帯」して行動を起こすべきであり、4月にG7の外相が初めて広島に集い、核兵器を持つ国、持たない国という立場を超えて世界の為政者に広島・長崎訪問を呼び掛け、包括的核実験禁止条約の早期発効や核不拡散条約に基づく核軍縮交渉義務を果たすことを求める宣言を発表したことは、正に「連帯」に向けた一歩だと述べました。
 平和宣言の後、こども代表の青木(あおき)優太(ゆうた)君と中奥(なかおく)垂穂(たりほ)さんが、被爆者から直接、体験談を聞きたくても聞くことが出来なくなる日が近づいている今日、世界各地から多くの人が広島を訪れて原子爆弾の恐ろしさを実感し、「あの日の出来事を伝える」と約束してくれたことに平和の広がりを感じたと語り、 「私たちには、被爆者から託された声を伝える責任があるのです。一人一人が、自分の言葉で、丁寧に、戦争を知らない人へ 次の世代へ 世界の人々へ 命の尊さを 平和への願いを 私たちが語り伝えていきます。」 と、「平和への誓い」を読み上げました。
 この後「あいさつ」の中で、安倍(あべ)晋三(しんぞう)内閣総理大臣は、71年前に広島及び長崎で起こった悲惨な経験を二度と繰り返させないための努力を絶え間なく積み重ねていくことは、今を生きる私たちの責任であるとし、 「唯一の戦争被爆国として、非核三原則を堅持しつつ、核兵器不拡散条約(NPT)体制の維持及び強化の重要性を訴えてまいります。核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、また、世界の指導者や若者に被爆の悲惨な実態に触れてもらうことにより、『核兵器のない世界』に向け、努力を積み重ねてまいります。」 と述べました。 また、被爆者の平均年齢が80歳を越えた現在、実情をしっかりと踏まえながら、援護施策を着実に推進していく考えを示しました。
 式典には37都道府県の遺族代表の他、核兵器国のアメリカ、イギリス、フランス、ロシアを含む91か国と欧州連合(EU)の大使や代表が参列しました。
 式典の様子はインターネットでライブ中継されました。 動画は、ひろしまムービーチャンネル>>の「原爆・平和」から視聴できます。 式典で読み上げられた「平和宣言」、「平和への誓い」の全文は、広島市ホームページ>>の「原爆・平和」→「平和宣言・平和への誓い・平和に関する要請等」から閲覧できます。 「平和宣言」は9言語(アラビア語、中国語、英語、フランス語、ドイツ語、ハングル、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語)の外国語版も閲覧できます。

(総 務 課)

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