核兵器禁止条約交渉会議への出席
 本年3月及び6、7月に米国・ニューヨーク市で開催された「核兵器禁止条約」の制定交渉会議に、平和首長会議の代表者が参加し、建設的でオープンな議論を重ね、実効性のある核兵器の法的禁止が実現するよう訴えました。

公開書簡の発出
 平和首長会議は、第1回交渉会議を前にした3月14日に、全ての国連加盟国等に公開書簡を発出しました。 この書間では、核兵器の法的禁止という「核兵器のない世界」を目指す上での重要かつ不可欠な転換点となる歴史的な取組への支持を改めて表明するとともに、核兵器の法的禁止実現に向け、核保有国や核の傘の下にある国を含む全ての国がこの会議に積極的に参加するよう要請しました。
 あわせて、国連事務総長や交渉会議議長等にも本書簡を発出し、平和首長会議の活動への支援を要請するとともに、平和首長会議加盟都市に対し、このメッセージを各国政府や市民社会に広く伝えてもらうことを依頼しました。

第1回交渉会議への出席
 小溝(こみぞ)泰義(やすよし)平和首長会議事務総長(本財団理事長)が、3月24日〜4月2日の日程でニューヨーク市等を訪問しました。
 会期中の3月29日には、小溝事務総長が平和首長会議を代表して発言し、核兵器の法的禁止は核兵器のない世界の実現を目指す上で重要な第一歩となるとして、今回の交渉会議への支持を表明するとともに、今後核保有国や核の傘の下にある国を巻き込んで核兵器廃絶へ向けて実効性のある条約にしていくための提言を行いました。 参加した国連加盟国や他のNGO等の間で、将来的に核保有国も参加できるよう条約に発展性を持たせるアイデアとして一定の評価を得ることができたのは大きな収穫でした。
 米国政府がこの交渉会議を欠席する中、平和首長会議の米国のリーダー都市であるデモイン市のカウニー市長と本財団の2人の専門委員が、平和首長会議の代表団の一員として出席しました。 カウニー市長は日本のマスコミに対し、米国内で平和首長会議のネットワークを広げながら、核兵器廃絶に向けた主体的な活動を展開していきたいと述べました。 このことにより平和首長会議が国の立場を越えて協働していることをアピールすることができました。
 また、コスタリカのホワイト交渉会議議長を始め、条約推進国であるオーストリアのハイノツィ駐ジュネーブ国際機関代表部大使、アイルランドのオブライエン駐ジュネーブ国際機関代表部大使、国連のキム事務次長兼軍縮担当上級代表などと面会したこと、平和首長会議の公開書簡や小溝事務総長のスピーチが国連の公式文書としてウェブサイトに掲載されたこと、平和首長会議の資料を会場で配布したことなどにより、平和首長会議の活動に対する認識が広がったことは、5月の2020年NPT再検討会議第1回準備委員会や第2回交渉会議などにおける今後の連携につながる成果となりました。
ホワイト交渉会議議長と面会する小溝事務総長
 3月31日には、ワシントンにおいてオバマ財団の関係者と面会し、平和文化センターとオバマ財団の今後の連携や、8月の第9回平和首長会議総会におけるオバマ前大統領の基調講演について依頼しました。 基調講演については、他の用務との調整もあり、実現しませんでしたが、両組織には取組の中で次代を担う若者の育成の重要性を認めているなどの共通点があることを互いに認識し、今後も連携の可能性について協議していくことになり、意義深い面会となりました。

第2回交渉会議への出席
 松井(まつい)一實(かずみ)平和首長会議会長(広島市長)及び小溝事務総長が、6月13日〜18日の日程でニューヨーク市を訪問し、第2回交渉会議に出席しました。
第2回交渉会議でスピーチする松井会長
 松井会長は、交渉会議初日の6月15日、議論が本格的に深まる前に、NGOの最初のスピーカーとして発言することができました。 スピーチでは、長年核兵器廃絶を訴えてきた被爆者が存命のうちに核兵器の法的禁止を実現するよう要請し、各国政府が建設的でオープンな議論を重ね、今会期中に条約案が採択されることを期待すると伝えました。 このスピーチに際しては、各国政府関係者が熱心に聴いてくださっている様子で、終了後は多くの方々から拍手をいただき、充分に主旨は伝わったと実感しました。
 ホワイト交渉会議議長やハイノツィ駐ジュネーブ国際機関代表部大使を始め、今回の出張期間中
の国連・各国政府関係者等との面会においては、被爆者の思いをしっかりと伝えました。 また、平和首長会議として、条約案採択後も、世界中の加盟都市やその他の市民社会の団体と協力しながら、核保有国や核の傘の下にある国の条約参加を呼び掛けるとともに、市民社会の核兵器廃絶に向けた意識を高揚させ、幅広い国際世論の形成を図ることで、世界の為政者が勇気と洞察力を持って行動できるような環境作りに努めたいと伝えました。
 国連の中満(なかみつ)事務次長兼軍縮担当上級代表との面会においては、今夏の平和記念式典、平和首長会議総会にご出席いただけると伺い、国連軍縮部のトップが、就任の年に早速、両被爆地を訪問してくださる事は被爆者にとって大変喜ばしいことだとお伝えしました。 また、今回の交渉会議について率直な意見交換を行いましたが、核保有国を取り込むために対話を重視していくとの中満上級代表の考えは、平和首長会議の考えと一致するものであり、今後の国連との連携がさらに深まることが期待されます。
 また、平和首長会議の米国内でのリーダー都市であるデモイン市のカウニー市長の尽力により、ニューヨーク市のデブラシオ市長に面会し、平和首長会議への加盟について要請しました。 デブラシオ市長は、米国内でも各市長が共通の市政における課題を共有し、連帯することは非常に意義があることではあるが、平和首長会議への加盟については少し時間をかけて検討したいとの考えを示しました。
 現在、米国では210都市が平和首長会議に加盟しています。 ニューヨーク市やワシントンDCなど影響力のある都市に加盟してもらうことにより、米国内の加盟都市をさらに増やしていきたいと考えています。
ニューヨーク市のデブラシオ市長と松井会長
「核兵器禁止条約」の採択
 第2回交渉会議の最終日である7月7日、核兵器の使用や保有を法的に禁ずる「核兵器禁止条約」が採択されました。 平和首長会議は今後、核保有国やその同盟国を含む全ての国の条約締結を促進するために、各国の為政者が核兵器廃絶に向けて果断なリーダーシップを発揮するよう、世界の多様なパートナーとともに働きかけていきます。

(平和連帯推進課)

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