2020年NPT再検討会議第1回準備委員会に合わせ平和首長会議が代表団を派遣
 平和首長会議(会長 松井(まつい)一實(かずみ)広島市長)は、今年5月、オーストリア・ウィーン市で開催された2020年NPT(核不拡散条約)再検討会議第1回準備委員会に合わせて代表団を派遣し、国連、各国政府関係者等に、世界中の為政者が誠実に核軍縮交渉を行うというNPT第6条の義務の履行を改めて訴えるとともに、平和首長会議の取組に対する理解と協力を求めました。 また、サイドイベントとして、平和首長会議原爆ポスター展示やユースフォーラムを実施しました。

5月2日(火)
 小溝(こみぞ)泰義(やすよし)平和首長会議事務総長(本財団理事長)が、ラッシーナ・ゼルボ包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)事務局長と面会し、核兵器廃絶に向けた平和首長会議の取組について説明しました。 ゼルボ事務局長は、平和首長会議の活動に理解を示し、今後もその取組をサポートすると述べられました。

5月3日(水)
 小溝事務総長が、天野(あまの)之弥(ゆきや)国際原子力機関(IAEA)事務局長と面会し、核兵器廃絶をめぐり対立が激化している中で、平和首長会議とIAEAが、それぞれどのように取組を進めるべきかについて意見交換を行いました。
 その後、本準備委員会のNGOセッションで小溝事務総長が松井会長のスピーチを代読しました。 NPT第6条に定める核軍縮の誠実交渉義務の重要性を改めて強調し、相互理解を深めながら、新たな安全保障体制の構築に向けて、世界のリーダー達が自ら先頭に立ち行動するように訴えました。 続いて、田上(たうえ)富久(とみひさ)副会長(長崎市長)もスピーチし、核兵器禁止条約締結は無理だと最初から決めつけるのではなく、勇気を持って交渉の場に参加するように世界へ向けてメッセージを発信しました。
松井会長のスピーチを代読する小溝事務総長
5月4日(木)
 田上副会長と小溝事務総長はオーストリア外務省を訪問し、リンハルト外務省事務次官と意見交換を行いました。 リンハルト事務次官は、核兵器のない世界の実現に向けて貢献したいと述べられました。

5月5日(金)
 一行は、北野(きたの)在ウィーン国際機関日本政府代表部大使等と面会し、日本政府は被爆者の思いをしっかり支え、核兵器廃絶に向けて積極的な案を提示してほしいと伝えました。
 その後、ファンデルクワストNPT再検討会議第1回準備委員会議長(オランダ)と面会し、本準備委員会に派遣した「核廃絶!ヒロシマ・中高生による署名キャンペーン」の参加者で平和首長会議の活動に協力してくれている高校生8人の代表者から「核兵器禁止条約」の交渉開始等を求める署名目録を議長に手渡しました。 議長からは、若い世代に期待する思いが伝えられました。
 署名の手交行事に続き、議長と意見交換を行い、松井会長が、「次の核兵器禁止条約交渉会議では、核保有国と非核保有国が対立するのではなく、歩み寄りながら最大限の努力をしてほしい。」と、思いを伝えました。
 
ファンデルクワスト議長へ署名目録を手渡した高校生たち   ファンデルクワスト議長と松井会長
 その後、オーストリアのフランツ・クグリッチ軍縮大使と面会し、クグリッチ大使は、核抑止はもはや有効な安全保障政策ではなく、核兵器禁止条約により多くの国が参加するように、市民社会のサポートを期待すると述べられました。

5月6日(土)
 平和首長会議役員都市意見交換会を開催しました。 ヨーロッパを中心に8都市が集まり、核兵器廃絶に向けた各国の対応や、各地域の特性を反映した取組について活発な意見交換がなされました。 議論を通じ、世界の緊張状態が増す中で、世界恒久平和の実現を目指していくためには、核兵器廃絶のみならず、加盟都市が直面している課題、例えばテロ、難民問題等、地域ごとに関心のある課題への取組も重要であると再確認し、これまで以上にリーダー都市を中心とした地域ごとの取組を充実・強化していくことについて、8月に長崎で開催する平和首長会議総会でも共有することになりました。
 意見交換会の後、松井会長と小溝事務総長は、エルバラダイIAEA名誉事務局長と面会し、エルバラダイ名誉事務局長から、平和首長会議は特に若い世代にメッセージを届けるようにすべきだとの提案がありました。 松井会長はそれに対し、50年先を見据えて、次の世代をターゲットとした平和教育の施策を打っていきたいとの意向を示しました。

5月7日(日)
 ローラ・ロックウッドウィーン核軍縮不拡散センター常任理事、アンゲラ・ケイン上席研究員と核兵器廃絶に向けた現状について意見交換を行いました。

5月8日(月)
中満上級代表へ書簡を手渡す松井会長
平和首長会議ユースフォーラムの様子
 中満(なかみつ)国連事務次長兼軍縮担当上級代表と面会し、松井会長が、今年8月に長崎で開催される第9回平和首長会議総会の基調講演をグテレス国連事務総長に依頼する書簡を手渡しました。 中満上級代表は、総会への出席に関しては事務総長と前向きに検討したいと述べられました。
 さらに、本準備委員会での中満上級代表のスピーチを傍聴しました。 中満上級代表は、核兵器は世界の安全保障情勢を悪化させる最大の要因であり、核保有国と非核保有国がそれぞれの役割を果たして、核軍縮を前進させるべきだと演説しました。
 サイドイベントとして開催した平和首長会議ユースフォーラムでは、広島からの派遣高校生に加え、ナガサキ・ユース代表団や、ロシア・ボルゴグラード市など平和首長会議加盟都市等の青少年が、自分達の活動や平和への思いについて発表しました。 広島、長崎の若者たちは、言葉の壁を越えて堂々と発表していました。 また、「HIROSHIMA and PEACE」や「青少年国際平和未来会議」等の事業で昨年までに広島を訪問した加盟都市の若者が、ウェブ会議システムやビデオメッセージで参加しました。
 その後、アイルランドのオブライエン駐ジュネーブ国際機関代表部大使と面会し、松井会長は、核なき世界を実現するためには、脅しではなく対話
を通して相互理解を深めることが重要であると訴えました。 オブライエン大使は、平和首長会議は有意義で魅力ある活動を続けており、大変評価していると述べられました。

5月2日(火)〜5月12日(金)
 本準備委員会の開催期間中、会場となったウィーン国際センター内で、会議に参加した方々に被爆の実相についての理解を深めてもらうため、平和首長会議原爆ポスター展示を実施しました。

(平和連帯推進課)

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