広く被爆の実相を伝え、核兵器廃絶に向けた国際世論を醸成するため、平成7年(1995年)から広島市と長崎市は共同で、海外「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」を開催しています。
オープニング前に展示を見学される林肇(はやし はじめ)駐英国日本国大使夫妻(ダラム市)
G7広島サミット開催直後の令和5年6月7日から9月10日まで英国のダラム市において、また、令和6年1月8日から2月28日まで同国のベルファスト市において、「ヒロシマ・ナガサキ原爆・平和展」を開催しました。
展示内容は、ともに、動員学徒として作業中に被爆し、犠牲となった中学生が被爆時身に着けていた腕章、中身が黒焦げになった弁当箱の複製、佐々木禎子
(ささき さだこ)さんの折り鶴など実物資料20点のほか、広島・長崎の被爆の実相を説明したパネル30点などです。
オープニング前に展示を見学される林肇(はやし はじめ)駐英国日本国大使夫妻(ダラム市)
まず、ダラム市での展示は、ダラム大学東洋博物館が会場となりました。
開催期間中には、詩や折り鶴のワークショップを実施したほか、8月1日には広島市とダラム市をオンラインで結び、被爆体験証言者の河野キヨ美
(こうの きよみ)さんが、被爆体験証言を行いました。
さらに、9月には、朗読ボランティアを現地に派遣し、原爆詩や体験記の朗読会を実施しました。
ダラム市のアンケートでは、「核兵器がもたらす惨状を思い起こさせる非常にタイムリーな展示会だ。」「人間が人間に対して行った非人道性の影響を目の当たりにし、非常に衝撃を受けた。」「核兵器を保有する、あるいは保有しようとしている国の指導者たちは皆、この展示会を訪れるべきだ。」などの感想が寄せられました。
また、ベルファスト市での展示は、リネンホールが会場となりました。
開催期間中には、折り鶴や書道のワークショップを実施したほか、広島市とベルファスト市をオンラインで結んで被爆体験証言者の八幡照子
(やはた てるこ)さんによる被爆体験証言を2回実施しました。
その際、北アイルランド紛争の体験者の方も、「ヒロシマ・ナガサキの体験に触れることにより、改めて自分たちの街の歴史を思い起こし、平和や和解の尊さを再確認し、若い世代にも継承したい。」として、自身の体験を話されました。
このように参加者は、悲惨な歴史は二度と繰り返してはならないとのメッセージを共有しました。
(平和記念資料館 啓発課)