和文機関紙「平和文化」No.217, 令和6年9月号

被爆79年 平和記念式典

 8月6日、平和記念式典が開催され、被爆者や遺族などおよそ5万人が犠牲者の冥福と世界恒久平和を祈りました。
 松井一實(まつい かずみ)広島市長による平和宣言では、「為政者が断固とした決意で対話をするならば、危機的な状況を打破できる。」とし、「先人たちと同様に決意し、希望を胸に心を一つに行動」を起こせば、「核抑止力に依存する為政者に政策転換を促すことができるはず。」と訴えました。 また、「平和首長会議の加盟都市と共に、市民社会の行動を後押しし、平和の醸成に一層取り組んでいく。」と宣言しました。 さらに、平和意識の高まりを反映し、過去最多となった平和記念資料館の入館者数に触れ、特に次代を担う若い世代の皆さんに、広島を訪れ、「希望の輪」を広げてほしいと訴えました。 日本政府に対しては、核兵器禁止条約にオブザーバー参加することと締約国となることを求めました。
平和宣言を読み上げる松井市長
平和宣言を読み上げる松井市長 (写真提供 広島市)
 この後の「あいさつ」で、岸田文雄(きしだ ふみお)内閣総理大臣は、「核兵器のない世界の実現に向けて努力を着実に積み重ねていくことは、唯一の戦争被爆国であるわが国の使命」とされ、「被爆者の方々を始め、核兵器のない世界の実現を願う人々と共に、被爆者の方々の思いや被爆の実相を次世代に継承するため、引き続き、力を尽くしていく決意です。」と述べられました。
 今回の式典では、アントニオ・グテーレス国連事務総長の「あいさつ」を、中満泉(なかみつ いずみ)国連事務次長兼軍縮担当上級代表が代読しました。 事務総長は、「かつて、私たちを軍縮と平和に向け、集団的な努力に導いた広島の教訓が、今や隅に追いやられつつある。」、「1945年の惨事から学んだ教訓を、活かし続けなくてはならないと、痛感してる。」とされ、その教訓は、「核兵器のいかなる使用も、壊滅的な人道的結末をもたらすということ」、「核兵器の脅威をなくす唯一の道は、核兵器の完全な廃絶であるということ」などであると述べられました。
 また、湯﨑英彦(ゆざき ひでひこ)広島県知事は、核兵器は存在する限り必ずいつか再び使われることになり、「人類存続に関わる差し迫った現実の問題である。」と訴えられ、核兵器廃絶を本当に実現するには、知的、人的、財政的資源などを思い切って投入することが必要であると主張されました。
 こども代表の加藤晶(かとう あきら)さんと石丸優斗(いしまる ゆうと)さんは、「願うだけでは、平和はおとずれません。」とし、私たちにもできる平和への一歩として、「一人一人が相手の話をよく聞くこと」、「『違い』を『良さ』と捉え、自分の考えを見直すこと」、「仲間と協力し、一つのことを成し遂げること」と、「平和への誓い」を読み上げました。
(総 務 課)
 
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