広島のいま
「国際平和文化都市」として
1958(昭和33)年、広島市の人口は41万人にふえ、やっと戦争前のきぼにもどりました。1980(昭和55)年には、日本で10番目のせい令指定都市となり、げんざいでは、人口約119万人のまちに成長しています。しかし、原爆(げんばく)の投下によってまちがはいきょとなったことを、広島の市民はわすれていません。ひばくのしょう人である原爆(げんばく)ドームは、1996(平成8)年に世界い産一らん表に登録され、むごい原爆(げんばく)のひ害を未来に語りつづける役目を持つことになりました。毎年、原爆(げんばく)が投下された8月6日には、平和記念公園で「平和記念式典(公式名:広島市原爆死没者慰霊(げんばくしぼつしゃいれい)式並びに平和祈念(きねん)式)」が開かれ、広島市長が世界に向けて「平和宣言(せんげん)」を読みあげます。これからも、広島市は「国際平和文化都市」として、かく兵器のはいぜつと世界こうきゅう平和の実げんをめざしてさまざまな努力を続けていきます。
被爆(ひばく)者は、いま
被爆(ひばく)体験を伝える
被爆(ひばく)から75年以上たって、被爆(ひばく)した人たちも年を重ね、被爆(ひばく)者の平均年れいは、令和3年3月31日げんざい、83.94さいをこえています。毎年多くの方がなくなり、被爆(ひばく)者はだんだん少なくなっています。
また、被爆(ひばく)者の中には、今でも原爆(げんばく)の後障害(こうしょうがい)で入院している人、いつしょう害が出るか不安をかかえながらくらしている人も多くいます。
被爆(ひばく)体験を語る被爆(ひばく)者
かくの時代
かく兵器を持つ国
かく分れつの力などを利用した兵器をかく兵器と言います。広島に投下された原爆(げんばく)よりずっと力の強い水ばくから、ミサイルに取りつけることができる小さいものまであります。
日本が負けて太平洋戦争が終わった後、アメリカとソ連はおたがいに負けまいとかく兵器をつくり続けました。その間にイギリスやフランス、中国もつくり始め、今では世界の9か国がかく兵器を持っています。その数は1万3千発以上です。今、その1発でも使われたら世界は大変なことになります。
なくならないかく兵器
なぜきけんなかく兵器はなくならないのでしょうか。理由の一つは、「あの国をこうげきしたらかく兵器で仕返しされるのでやめよう」と相手に思わせるためです。
かく兵器を持っていない国が「地球全体があぶないから全部なくそう」と持っている国に言っても「かく兵器を持っていない方があぶない」と考えて反対します。かく兵器を持っている国に守られている国も同じです。「今考えられている方法では、かく兵器は世界からなくならない。」と考えている人もいます。
かく兵器のない平和な世界へ
かく戦争、き機一ぱつ
冷戦の中で、「もう少しでかく戦争が起こる」というところまでいったことがありました。1962(昭和37)年のキューバき機です。ソ連がキューバにミサイルの発しゃき地をつくっていることにアメリカがいかり、かくミサイルを発しゃするためのボタンをおす直前までいったのです。アメリカがキューバをしんりゃくしないことを約束することで、ソ連はき地をとりやめ、かく戦争のき機はさけられました。この事件で、逆に世界の国々は、あらためてかく兵器を持つことのおそろしさを思い知りました。そして、少しずつかく兵器を少なくする努力がはじめられたのです。
かく兵器・かく実験をなくす努力
1968(昭和43)年には、アメリカとソ連が共同でてい案して、「これ以上、かく兵器をもつ国をふやさない」というじょう約ができました。1996(平成8)年には、「かくばく発をさせる実験は、全部やめよう」というじょう約もできました。これまで、地下かく実験だけはきん止されていなかったのですが、これもきん止することにしたのです。(一部の国がしょ名していないため、このじょう約はまだスタートしていません)
その後、2017(平成29)年に「かく兵器をつくること、持つこと、ほかの国をかく兵器でおどすことをきん止して、今あるかく兵器は全部なくそう」というじょう約ができ、2021(令和3)年にスタートしましたが、かく兵器を持っている国や、その国のかく兵器に守られている国はこのじょう約に参加していないので、全部の国が参加することが大事です。
しかし、こうしたかく兵器・かく実験をなくす努力にもかかわらず、げんざいでも世界には1万発以上のかく兵器がそんざいしています。
NPT
NPT = 核不拡散条約(かくふかくさんじょうやく)
CTBT
CTBT = 包括的核実験禁止条約(ほうかつてきかくじっけんきんしじょうやく)
核兵器禁止条約(かくへいききんしじょうやく)
人類と地球のき機
かく兵器がそんざいするかぎり、かく戦争が起きるかのうせいはずっとつづきます。今度、かく兵器が使われたら、広島の、何十倍、何百倍というきぼのひ害になることはまちがいありません。広い地いきに放しゃ性物しつがまき散らされ、多くの人が、後の世代にわたってまでしょう害を受けることになるでしょう。また、都市や森林が大火さいを起こし、そこから発生したチリやススが地球をおおって、地球のかんきょうそのものが変わって「かくの冬」が来るという予想もあります。かく兵器は、人類の未来に暗いかげを落としつづけているのです。
地表の温度は、アメリカ西部で30度、アメリカ東部で40度、ヨーロッパでは50度、ペルシアわん地いきで50度、北極けんで15度ほどさがるといわれています。
平和への取り組み
かく兵器のはいぜつ(すべて無くしてしまうこと)は、それぞれの国家にだけ求められているものではありません。地球に住むわたしたち一人ひとりが平和を願い、かく兵器のない社会を実げんしようとする強い意しを持ち、世界中の人々と協力して、いろいろな活動を行うことで大きな力が生まれます。その力が国家や国連を動かすことにより、かく兵器のない平和な世界が実げんされるのです。