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「放射線(ほうしゃせん)」のこと知りたい

見えない「放射線ほうしゃせん」誰が見つけたの?

偶然(ぐうぜん)の発見「不思議な光線」エックス(X)線

1895年、ドイツのレントゲンが他の実験(じっけん)をしているとき「物体を()()ける光」を発見しました。
この後、次々と放射線(ほうしゃせん)(かん)する発見が(つづ)きました。

レントゲン

(Wilhelm Conrad Roentgen, 1845-1923)
エックス(X)線の発見で、1901年、ノーベル物理学(しょう)受賞(じゅしょう)

1896年1月23日にレントゲンが()ったAlberd von Köllikerの「手がすきとおって(ほね)が見える」X線の写真

エックス(X)線の発見

1895年、ドイツのレントゲンによるエックス(X)線の発見によって、放射線(ほうしゃせん)放射(ほうしゃ)(せい)物質(ぶっしつ)存在(そんざい)確認(かくにん)されました。レントゲンは、内部の空気を抜い(ぬ )て真空状態(じょうたい)にしたガラス(かん)に数千ボルトの電圧(でんあつ)をかけて放電させるという実験(じっけん)をしていたとき、その(かん)(あつ)い紙で(おお)っているにもかかわらず近くに()いてあった蛍光(けいこう)物質(ぶっしつ)が発光している現象(げんしょう)偶然(ぐうぜん)に発見し、その(かん)からは「目に見えない物を()()ける光が出ている」とし、この不思議(ふしぎ)な光線をエックス(X)線と名づけました。

ベクレル

(Antoine Henri Becquerel, 1852-1908)
放射線ほうしゃせん)を出す力の発見で、1903年、ノーベル物理(しょう)受賞(じゅしょう)

ベクレルがウラン化合物によって偶然(ぐうぜん)感光させてしまった写真乾板(かんぱん) (※)

放射能(ほうしゃのう)の発見

レントゲンがエックス(X)線を発見した翌年(よくとし)(1896年)、フランスのベクレルが、ウラン化合物(ウランを(ふく)岩塩(がんえん))を()いて暗いところにしまっていた写真乾板(かんぱん)(※)を現像(げんぞう)したところ、太陽の光を受けていないのに感光していました。ベクレルは、ウラン化合物にエックス(X)線にに()た何らかの放射線(ほうしゃせん)を出す力があることを発見しました。

※げんざいの写真フィルムにあたるもの

ピエール・キュリー

(Pierre Curie, 1859-1906)

マリー・キュリー夫さい

(Marie Curie、1867-1934)
1903年、放射能(ほうしゃのう)の研究でノーベル物理学(しょう)受賞(じゅしょう)

放射能(ほうしゃのう)解明かいめい

レントゲンやベクレルの発見に刺激(しげき)されたマリー・キュリーは、(おっと)ピエール・キュリーたちが発明した計測(けいそく)()を使って、ウラン化合物から放射線(ほうしゃせん)を出しているのはウラン原子であることを見つけ出し、その放射線(ほうしゃせん)を出す性質(せいしつ)を「放射能(ほうしゃのう)」と名づけました。 マリーは(おっと)ピエール、ベクレルとともに3人でノーベル物理学賞を受賞(じゅしょう)。さらに8年後、化学で2度目のノーベル賞を受賞(じゅしょう)しました。

ラザフォード

(Ernest Rutherford, 1871-1937)
放射性ほうしゃせい物質ぶっしつをこう成する原子が放射線(ほうしゃせん)を出しながら、安定したものに変わることを解明かいめいした放射性ほうしゃせい物質ぶっしつの研究で1908年、ノーベル科学(しょう)受賞(じゅしょう)し、「原子物理学の父」とよばれた。

チャドウィック

(James Chadwick, 1891-1974)
中性子(ちゅうせいし)の発見で、1935年、ノーベル物理学(しょう)受賞(じゅしょう)

いろいろな放射線(ほうしゃせん)

その後、イギリスのラザフォードたちは、1898年にウランから2種類(しゅるい)放射線(ほうしゃせん)が出ることを発見し、それらをアルファ(α)線、ベータ(β)線と名づけました。アルファ(α)線はプラスの電気を()びた重い粒子(りゅうし)の流れ、つまり、「ヘリウムの原子核(げんしかく)」であることを、ベータ(β)線は「マイナスの電気を持った軽い粒子(りゅうし)(電子)の流れ」であることが分かりました。「透過(とうか)(せい)が高く電荷を持たない放射線(ほうしゃせん)」はガンマ(γ)線と名付(なづ)けられました。エックス(X)線はガンマ(γ)線のなかまです。 1911年、ラザフォードたちは実験(じっけん)で原子の中に原子核(げんしかく)があることを発見しました。 ラザフォードの弟子のチャドウィックは、1932年にベリリウムにα線をあてて出てくる放射線(ほうしゃせん)中性子(ちゅうせいし)線)を、ガンマ(γ)線では説明(せつめい)できない大きな質量(しつりょう)を持ったものであるとし、中性子(ちゅうせいし)存在(そんざい)を発見しました。

写真:ウィキメディア・コモンズ