「放射線(ほうしゃせん)」のこと知りたい
原爆(げんばく)と発電所の事こで出た放射線(ほうしゃせん)とは同じなの?
広島では、放射線と核爆発の
すさまじいエネルギーが
大きな被害を引き起こしました。
広島の原子爆弾は、大量のウランを一瞬のうちに核分裂させたエネルギーで、人や建物に被害をあた与えることを目的にした兵器です。大規模な爆発を起こし、爆風や熱線、放射線、高熱火災で多くの人がな亡くなりました。
通常の爆弾と大きく異なる点は大量の放射線が放出され、人体に深刻な影響を与えたことです。放射線による病気で亡くなった人も含め、1945年12月末までに約14万人の方が亡くなりました。
原子力発電所の事故はこれまでにもありました。
チェルノブイリ原子力発電所の事故は
周辺地域の人々の生活を壊してしまいました。
▲チェルノブイリ原子力発電所発電施設(2007年)
※写真:ウィキメディア・コモンズ
もっとも深刻な原子力発電所の事故として知られているのは、1986年に旧ソ連(現在のウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で起こった事故です。発電所の周辺は高濃度の放射性物質で汚染され、現在も居住することができません。この事故では、ウランに換算して3,600kgの核燃料から200kgの放射性物質(※)が大気中に放出されたと考えられています。
※ウラン235に換算
福島第一原子力発電所からは、事故の後1カ月でチェルノブイリ原発事故の約10%の放射性物質が放出されたとみられています。
(平成23年4月12日経済産業省発表による)
福島の原子力発電所で起こったのは「水素爆発」。
建物が壊れて、放射性物質を
閉じこめておくことができなくなりました。
▲事故前の東京電力福島第一原子力発電所
※写真:ウィキメディア・コモンズ
原子力発電は、核分裂によるエネルギーを利用して発電するしくみです。通常は、核分裂によってできた放射性物質は厳重に閉じ込められていますが、東京電力福島第一原子力発電所では、大規模な地震と津波で冷却装置が壊れ、発生した水素が爆発しました。核燃料自体が爆発することはありませんでしたが、爆発で建物などが壊れ、本来は原子炉の中に閉じ込められているはずの放射性物質が飛び散り、空気や水、大地などを汚染しています。
長期にわたる放射性物質
の影響について
分からないことが不安を呼びます。
正しい知識と情報が必要です。
▲福島で東京電力の職員と車の放射線量を調べる広島大学緊急被ばく医療派遣チーム
※写真:広島大学
福島の事故の後、原子力発電所周辺以外で、今すぐ住民の健康を害するほど高濃度の放射線が観測されている場所はありませんが、少量の放射線が長い期間残った場合の人間への被害については十分なデータがなく、専門家の間でも意見が分かれていて、住民の不安が高まっています。広島の原爆の後も、どのくらいの放射性物質が放出され、どのくらいのエリアに広がったかといったことは分かっていません。後世のために長期間の調査が必要です。